アイリーンと聞いて何を思い浮かべるだろうか。私はシャーロック・ホームズを翻弄したアイリーン・アドラーを思い浮かべた。天才を欺く悪役という描写はその当時珍しいもので、彼女の登場に非常に驚いた記憶がある。
さて、今回のハリケーンには奇しくも「Irene」と冠されている。ノースカロライナ州の南東沖役200キロを北上しており、最大風速45mとのこと。カテゴリーは5レベルあるうちのカテゴリー2に相当する。場合によってはカテゴリー3に発達する見込みで、注意喚起されていた。先日までメキシコ方面に向かっていたのに、急速に進路を変更。このまま進むとアメリカ東海岸の各州に大規模な災害を引き起こす可能性が出てきた。まさにアイリーンのような狡猾さだ。
そのため、上陸が予想されるノースカロライナ州とマサチューセッツ州ではハリケーン警報が発令された。ノースカロライナ州沿岸部では地滑りや高潮も予想されている。オバマ米大統領は「(アイリーンは)歴史的規模のハリケーン」になりうると警告した。
世界最大級の都市、ニューヨークも例外ではない。ニューヨーク市のブルームバーグ市長は、同市では初という強制避難命令を出した。対象はマンハッタンなど同市5区の低地で、約25万人に影響が及ぶ。また当局は、広範囲かつ長時間に及ぶ停電、さらに鉄砲水や高潮とそれらに伴う海抜の低い地域や地下鉄網の浸水について警告した。ニューヨーク州都市交通局(MTA)は27日正午に同局が管理する交通網を遮断する。
旅行やビジネスでアメリカを訪れている方はくれぐれも注意してほしい。アメリカ日本大使館も『ハリケーン「アイリーン」(Hurricane IRENE)に対する注意喚起』と題したページを掲載しており、注意を促している。